Posted in 小児科医のツブヤキ

小児科勤務医師の日常、あれこれ

患者本人に聞く

小児科に勤務していると、当然のことながら子供の診察になりますが、
話の相手は大人、つまり親御さんということになります。

そうなると、子供に話を聞こうと思っても、先にお父さん、
お母さんがワイワイと話をしがちです。

親としては、確かに年端もゆかない子供に話を聞こうとする医師にいらだち、
自分たちが話してしまった方が早いと考えるのでしょうが、
医師としては、まずは患者さんから話を聞くのが鉄則です。

たとえそれが年端もゆかない子供であったとしても、
ある程度自分で自分の気持ちを、あるいは意思を伝えられる年齢であれば、
まずは聞くことから始まります。

子どもとの接し方

親は、子供のことをなんでもわかっていると思いがちですが、
意外と子供というのは、親に心配を掛けまいとして黙っていたり、
時には嘘をついたりするものです。

その点、医師になら、本能的に本当のことを言わなければいけないと感じたり、
あるいは本当のことを言ってもいいのだと感じることがあります。

意外な子供の言い分を聞いて、そんなこと言ってなかったじゃないのと、
びっくりする親御さんもおられますが、子供というのはそういうものなのです。

医師でしかわかりえないこと、あるいは医師だからこそわかることがあるので、
あえて小さな子供にも優しく、平易な言葉で尋ねることが重要だということになるのです。

小児科勤務をしていると、こうした親と子の感覚のずれが非常に目につきやすく、
子供の不思議を感じる瞬間でもあります。

親が怖い、親に心配を掛けたくない、あるいは親に叱られると思っているのかもしれず、
その理由はわかりませんが、親からの話を聞くだけでは、
本当に子供が感じている不調を見抜く判断材料にならない場合もあるということを、
肝に銘じておかなくてはなりません。

こうした小児科医の姿勢を見て、子供への接しかたを考え直してくれる親御さんもいらっしゃれば、
そうしたことに全く気付かず、これまで通り、自分が見たことを自分が考えた解釈で、
子供はこうなっていると、頑固に信じ続ける親御さんもいます。

こうした凝り固まった考えは危険なのですが、よほどひどい場合以外は、
親に言って聞かせるのはむずかしいでしょう。

子供にわかりやすく説明して諭すことで、
親が気づいてくれるのを期待するほかありません。

小児科医の日常は、診察そのものも大事ですが、
まさにこのやりとり、いわゆる患者さんとのコミュニケーションが重要です。

しかも、内科や外科なら、患者さんのみとやり取りすればいいだけですが、
小児科医は患者である子供と、患者でない親とを同時に相手にしなければならないので、
対応の切り替えが大変です。

それでも、子供が元気になれば、親もうれしくなり、
お礼を言われると、よかったと思うでしょう。

子供が元気になることで親も元気になる、その手伝いができることが、
小児科医としてのやりがいのある毎日を作ってくれているのではないだろうかという気がしています。